検査の種類

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X線
 
がんによる変化がないかどうかを確認するため、胸部や骨のX線検査を受けるかもしれません。X線は早くて簡単な検査ですが、早期のがんの兆候が映らないかもしれません。

骨シンチグラフィー(骨シンチ)
 骨スキャンの間、少量の放射線活性物質が、静脈(通常は腕の)に注射されます。放射線活性物質は血流に乗って全身を巡り、骨へ到達します。スキャニングを開始するまでに骨に蓄積されなければなりません。これには3時間ほどかかります。この間歩くことは可能です。スキャナーがあなたの上を移動し、骨の写真を撮るまで寝ているよう、頼まれるでしょう。このスキャンには1時間ほどかかります。スキャン中音楽を聴くことでリラックスできる人もいます。

 骨スキャンは、骨の中の細胞がより増殖している小さな領域を拾うことができます。これらは”ホットスポット”と呼ばれます。ホットスポットは、がんやそれ以外の状況、関節炎、炎症、けがなどで生じます。スキャンがホットスポットを示した場合、その診断を確定するためにほかの検査を受ける必要があります。進行·再発がんを見つけるための骨スキャンは、骨粗しょう症(加齢の結果、生じる骨が薄くなること)を評価するための骨密度とは異なります。

CT
 
CT(C:コンピューター T:トモグラフィー)は、体の他の部分のがんを探すために使われるかもしれません。10分から20分程度の検査です。台の上にあおむけに寝転がって、体の内部の写真を撮るドーナツ型の機械を通り抜けます。痛みは伴いません。スキャナーの中で閉所恐怖を感じるかもしれませんが、MRIよりも頻度は低いです。スキャンの間不安なく過ごせるよう、安定剤を飲むこともあります。
 スキャンの前に、腕や手の静脈から造影剤を少量投与することがあります。造影剤はがんによって体に変化が起きた部位を見やすくします。造影剤が注射される間、体が熱くなるように感じるかもしれません。
 スキャンをする前に、経口の造影剤を飲むように言われるかもしれません。これは大腸とその近接の臓器の相違を見付けやすくすると言われています。

超音波
 
超音波は、肝臓やそれ以外の部位での変化を探すのにつかわれます。これは数分の検査で、痛みを伴いません。腹部の超音波の検査の前には、少なくとも4時間は何も食べないように頼まれるかもしれません。

血液検査
 
血液検査は、どのくらい肝臓が機能しているか、骨髄がどのくらい健康か、血液内に通常より多いカルシウムがないかどうかなどを確認するために使われます。高いカルシウム濃度は、進行再発乳がんの兆候です。

腫瘍マーカー
 乳がんの腫瘍マーカーは、再発した乳がんに対してその治療が効いたかどうかを知りたい場合に、良い指標となることがあります。腫瘍マーカーとは、がん細胞が作る物質、または、がん細胞に反応して正常細胞が作る物質のことで、血液や体液の中に含まれています。血液を検査して、その物質がどのくらい存在するのかを見て、体内にがんがあるかどうかを推測したり、治療の効果が出ているかどうかを判断したりします。
 ただし、がんが体内にあれば腫瘍マーカー値が高くなるということではなく、高値にならないタイプのがんもあります。また、ほかの病気や喫煙などで高値になることもあります。

·腫瘍マーカーの役割
 乳がんの腫瘍マーカーは、再発したり全身に広がった乳がんに対して、治療が効いたかどうかを判断するために、良い指標となることがあります。また、血液を調べるだけで簡単に検査できるので、再発の治療中は、定期的に検査をして、治療効果を確認したり次の治療を検討したりする際に参考にします。なお、腫瘍マーカーの数値の高低にも意味があるものではなく、高いからと言って何かが悪いということを示しているわけではなく、あくまで変動を見て治療の効果や病状の変化を知るためのものです。

各腫瘍マーカーの基準値

CA15-3

25.0U/ml以下

CEA

5.0ng/mL以下

NCC-ST-439

7.0U/mL   以下


基準値は検査方法、施設によって異なります。

↑基準値は名市大のものに変える

 腫瘍マーカーは100%正確にがんの再発を示しているわけではなく、腫瘍マーカーの数値が高くなったとしても必ずしもがんが再発したということではありません。一方、腫瘍マーカーの上昇がなくても再発している場合があります。したがって、腫瘍マーカーの役割はあくまでも補助的なものです。

 治療後の経過観察中に腫瘍マーカーを測定し、数値が上昇していた場合は、1~3か月後に再度検査して慎重に経過を観察するとともに、ほかの検査も併せて行い転移がないかを探します。
 腫瘍マーカーは結果が数値で現れるため、患者さんにとっては比較的わかりやすいものですが、腫瘍マーカーだけで何かがはっきりわかるわけではないので、数値に一喜一憂しないようにしましょう。

MRI:磁気共鳴映像法
 
MRI(M:magnetic,R:resonance,I:imaging:磁気共鳴映像法)は、脳·脊髄·脊椎·肝臓のがんの兆候の確認のために使われるかもしれません。スキャンは、約30分かかります。体の内部の写真を撮る間、トンネル用の機械の中に横たわります。スキャンの間、腕や血管の静脈から少量の造影剤の注射を受ける人もいます。これはがんによる体の変化を見つけやすくするためです。造影剤投与によって特に何か感じたりすることはありません。痛みは伴いませんが、機械の中で閉所恐怖を感じる人もいるかもしれません。また、検査中は大きな音がします。検査中快適に過ごせるよう何かできることはないか医療者と話してみてください。安定剤を使うこともこの中に含まれます。

PET:陽電子(ポジトロン)放出型断層撮影法
 
時々、PET(P:Positoron, E:Emission, T:Tomography 陽電子放出型断層撮影法)は体内のがんを検索するのに使われます。少量の放射線活性物質が静脈(通常は腕の)から投与されます。その後台の上に横になるように言われるでしょう。台は、スキャナーの”輪”(ここで体の内部の写真を撮ります)の中を通ります。写真は通常より細胞が活発になっている(成長が早いがん細胞など)体の部位を示すことができます。この検査は痛みを伴わず、15分から2時間程度時間を要しますが、スキャンのタイプによって時間が変わります。

骨生検
 骨生検は進行再発乳がんでは一般的ではありません。骨生検は骨シンチでがんによる変化が見つかった部位で行われます。痛みを軽減するために検査をする前に、局所麻酔を行います。その後、針が骨の中に入り、病理医による検査のための骨の標本が採取されます。生検は不快で、その後数日痛みます。麻酔が切れた後必要に応じて痛み止めが使われます。情報がもっとほしい場合には、医療者に尋ねてみてください。

乳房生検(乳房バイオプシー

 
進行再発乳がんが最初のがん診断の場合、診断を確定し、乳がん細胞にどのような受容体(受容体:ホルモンや薬剤等の物質が付着する細胞の上もしくは中のタンパク)があるかを確かめるために乳房の生検を受けるでしょう。この情報は、主治医があなたにどの治療が最適かを判断する助けになります。
 以前乳がんとすでに診断されている場合、記録を見てあなたの乳がんの細胞にはどの受容体があるか判断することができるでしょう。初発のがんが見つかって以降、受容体に変化が起きていないか検査するため再度生検を行うこともあるかもしれません。

新規の検査
 
がんを探索する新しい方法がどんどん研究されています。新しい検査について耳にすることもあるかもしれません。どのような検査や技術も通常に行われるようになるまでに本当に有効なのかどうかを確かめられなければなりません。あなたの聞いた新たな検査や治療法について質問がある場合、主治医に聞いてみましょう。